ぜんそく(喘息)
インタール
現在、新薬は膨大な動物実験を経て、臨床の場に登場します。
一方、このインタール(intal)はそれを開発した医師(アルトニィアン博士)自身が、自分の喘息発作に対する効果を調べることにより作り上げた極めてユニークな薬です。その後もアルトニィアン博士は、自分でハウスダストのエキスを吸入しては喘息発作を起こしながら、このインタールの開発を長期間行いましたが、その結果喘息が悪化し、大変残念なことに亡くなってしまいました。
このインタールという薬の基本構造は天然にある植物の構造を元に作られました。従って、近年のコンピューターで構造を組み立てた薬品とは異なり、自然により近いといえましょう。
私自身、イギリス留学(1981-83年、ロンドン大学、ブロンプトン病院)の際にこの先生と直接お会いしました。非常に温厚な、しかし喘息のための薬の開発には自分自身の体を張っているという感じが、話を聞いている私にもひしひしと伝わってきました。このような方が開発した薬が悪かろう訳がありません。
インタールはアレルギー性の喘息に有用です。小児喘息に良く使用されます。気管を拡張する作用は余りありませんが、長期に使用することにより、気管の過敏性を減らしたり、喘息発作の初期段階では発作をおさめる作用もあります。もちろん成人喘息にも使用されます。
薬の形(剤型)には多種あります。
吸入薬(喘息)、点鼻薬(アレルギー性鼻炎)、点眼薬(アレルギー性結膜炎)、内服薬(食物アレルギー)などです。
吸入方法には粉(パウダー)、ガス状の薬、水溶液をネブライザーで吸入するなど様々な方法が用意されており、それぞれの患者さんに合う方法が選択できるようになっています。
副作用は極めて、まれといっても良いでしょう。
もしあれば、アレルギーの専門学会に報告することができる位、珍しいと言えましょう。私の30年弱の臨床生活の中では、吸入時に多少の咳が出ることがあるということ以外には副作用といえるものは経験したことがありません。極めて安全な吸入薬といえましょう。
薬用インタール製剤
粉を吸入したり、ガス状の薬を吸入したり、水溶液をネブライザーで吸入したり、いくつかの吸入方法があります。患者さんの症状に一番合った剤型を選択します。
アレルギー疾患の各病気を説明していきます。