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アトピー性皮膚炎



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 皮膚に見られる特徴

(1)ドライスキン

 
かさかさ肌、鮫肌、乾燥肌等と呼ばれます。

 

一般的に乾燥肌は寒く空気の乾燥した冬に多いのですが、アトピー性皮膚炎では夏でもこれが見られる場合もあります。このような人は夏の暑い日に汗をかいても皮膚はすぐ乾いてかさかさになってしまいます。または保湿剤であるワセリンをぬると、しばらくは皮膚はしっとりしていても、その後すぐにパサパサとなります。
 

健康な肌とドライスキンの違い

 
表皮は何層もの細胞が丁度お城の石垣のように何層にも積み重なって出来ています。
一番底にある細胞がだんだんと皮膚表面に達し、垢となって落ちます。この周期は1-6週と個人差が大きいとされています。さて、この石垣のような細胞同士の間には「セラミド」という一種の脂質があり、セメントの役目をしています。

 

このセラミドが不足すると細胞の間がスカスカとなり、皮膚の水分を保つことができなくなりドライスキンとなります。同時に、皮膚のバリアー機能(体を覆い、細菌やビールスが進入しにくくする働き)が低下します。

 

ドライスキンがあると皮膚のかゆみは増し皮膚を掻き崩し症状が悪化してしまいます。

 

(2)皮膚のかゆみ

 

アトピー性皮膚炎のかゆみは皮膚の表面の神経に刺激が伝わり、それが脳にかゆみとして知覚されます。この一見単純に見えるメカニズムの解明はまだ始まったばかりなのです。言い換えれば、ほとんどわかっていないというのが現状です。

 

かゆみを引き起こす物質は大雑把に言って4系統あります。

 

それらの中で治療薬のあるのはアレルギーを起こす物質としてよく知られているヒスタミンです。この物質の働きを抑えるには抗ヒスタミン薬があります。もしも、その患者さんのかゆみを引き起こす主な物質がヒスタミンであるならこの抗ヒスタミン薬でかゆみはかなり抑えられるでしょう。事実この抗ヒスタミン薬が効く場合もありますが、まったく効かない場合は特に重症のアトピー性皮膚炎でよく見られます。
ヒスタミン以外のかゆみを引き起こす物質の働きを抑える薬は現時点ではヒトに使用できるものはありません。臨床的にはこのかゆみさえ抑えればアトピー性皮膚炎の悪化を阻止できる場合が多いと考えられていますが、残念ながら医薬品として手に入るまでには時間がかかりそうです。

 

アトピー性皮膚炎の皮膚ではかゆみを知覚する神経が皮膚の表面までその末端を伸ばしてきます。
その結果皮膚表面の刺激はすぐ神経に伝わり、つい掻いてしまうことになります。日中はある程度意思の力で掻かないようにすることは出来ますが、夜間の睡眠中はどうしても掻いてしまい、朝起きるとシーツが血だらけになることもよく見られます。抗ヒスタミン薬の種類をいろいろ代えてみてもどうしても効かないときは軽い鎮静薬を使うこともありますが、その効果も個人差が大きく、残念ながら保証されたものではありません。

 

医学の進歩にはそれぞれの時期の大きな流れがあります。
 
20世紀後半は分子細胞学(遺伝子)の時代です。そして、21世紀は神経、脳の働きを解明する時代といわれています。

 

(3)皮膚のバリヤー機能低下

 

ドライスキンで述べたようにアトピー性皮膚炎の皮膚の上皮の細胞の間の物質(セラミド)が不足するために皮膚や体の水分が対外に逃げやすいと言うことがわかっています。

 

逆に、このような皮膚では皮膚の細胞同士の間がぴったりとふさがっていないために、外から皮膚内、体内へ細菌やウイルス、さらにチリダニのダストなどが侵入しやすくなります。

 

このような外から体内へ異物が侵入するのを防御することを生体のバリヤー機能といいます。アトピー性皮膚炎ではこのバリヤー機能が低下しているために、水いぼ、トビヒになりやすく、また再発しやすくなってしまうのです。

2014/8/13