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アレルギーついて



 日本人の食生活の変化とアレルギーの増加

 
・原因物質(アレルゲン)の増加が考えられます。アルミサッシなどの建物の構造変化、エアコンによりハウスダストの原因であるチリダニの増加、またスギ花粉の増加、ペットの増加などの因子は、アレルゲンの増加に直結します。
 
・増悪因子の増加が考えられます。大気汚染は現在では慢性低濃度汚染と考えられます。
大気汚染はぜんそくやスギ花粉症の増悪因子となります。特にディーゼルの排気ガス中の炭素はスギ花粉症の悪化にかなり密接な関連があります。
ストレスの増加も無視できません。成人発症型アトピー性皮膚炎ではストレスがかなり大きな比重を占めていることは明らかです。
 
・食生活の変化も見落とせません。戦後日本人の食生活で最も増えたのはタンパクの摂取量ではなく動物性脂肪の摂取量です。これが後に述べるアレルギー性疾患の増加の原因のひとつと考えられます。
 
 

 
動物性タンパク質、例えば牛乳や卵のとり過ぎは、牛乳アレルギーや卵アレルギーの発症頻度を増加させます。
 
一方動物性脂肪、とくにオメガ6系の脂質を取り過ぎると、体の中の炎症反応が起きやすくなります。一方オメガ3系の脂質は体の中の炎症反応を抑制します。
 

 
私が国立公衆衛生院と行った全国調査では、魚を多く食べるグループは喘息の発症が統計学的に低いことが分りました。名古屋大学小児科のデータではEPAを多量に含むサプリメントは重症のアトピー性皮膚炎に有効であるというが分っています。私のデータでは、1年間EPAのサプリメントを内服した場合、喘息が軽快することも分っています。
 

 
オメガ3系の脂肪酸には、α-リノレン酸、EPA、DHAなどが含まれます。これらの物質が体の中に取り込まれると、アレルギー性炎症を起こしやすいオメガ6系脂肪酸の代わりに、化学伝達物質や細胞の膜の中に取り込まれます。
 
その結果は化学伝達物質の構造が変化し、炎症を引き起こす働きを低下させます。また細胞に取り込まれると、細胞膜を安定化させるために炎症細胞が炎症の場で活性化することを抑制します。
 

 
これらの物質を日本人は、日常生活でごく普通に摂取し、その結果体の中のアレルギー性炎症が起きにくい状態が長い間続いていたと考えられます。
 
戦後、動物性脂肪の多い食生活への急激な変化により、このオメガ3と6のバランスが破たんしたと考えられます。現在都市では美味しくて、新鮮でしかも安い魚はまず手に入りません。魚離れが起きて当然です。
 
EPAは合成できないため、主にイワシなどから抽出された天然物質です。これをサプリメントとして摂取することは、魚の多い食事を継続すると言うことです。これがEPAの特徴といえるでしょう。
 
(平成16年2月4日、産経新聞、朝刊掲載)
 
 2014/8/13