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花粉症



 減感作療法

減感作療法の治療方針には以下のようなものがあります。
 
 

 
減感作療法は20世紀の前半に行われるようになった一種の免疫療法(ワクチン)です。
はしかやおたふくのワクチンが1度注射するだけで免疫がつくのに比べると、花粉症に対して行われる減感作注射は週に1-2回の注射を、花粉が飛んでいる間は持続し、花粉が飛ばなくなってからは、1-2ヶ月に一回と間隔を空けてゆきます。
 
ですから、はしか、おたふくかぜ、みずぼうそうなどの一回の注射で免疫がしっかりとつくワクチンとはかなり異なるものです。それは、もともとスギ花粉に反応してアレルギー反応を起こす人に、花粉に対して反応しなくなるような免疫を引き出すため、とても一回の注射では、免疫はつかないため以下のような手間のかかる方法が必要となるのです。
 
 

 
スギを例にとって 減感作療法の実際についてご説明致します。
 
スギの標準エキスを何千万分の一方は何億分の1位という微量に薄めてそれをを週に1回または2回、定期的に皮下注射します。回数を重ねるごとに少しずつ量を増やし、また濃度を少しずつ濃くしていきます。通常をスギの花粉が飛び始める1-2ヶ月くらい前から注射を開始しスギ花粉の終了の時期まで(大体5月まで)定期的に行います。その後は1-2カ月に一回と注射の間隔をあけて、夏、秋、冬と注射を続けます。また来年のシーズンになる1ヶ月くらい前から注射の間隔を1-2週に1回にして行きます。
 
 

 
1000万分の1   0.1ml---0.2ml---0.3ml---0.4ml---0.5ml ↓
100万分の1   0.1ml---0.2ml---0.3ml---0.4ml---0.5ml  ↓
10万分の1   0.1ml---0.2ml---0.3ml---0.4ml---0.5ml   ↓
1万分の1   0.1ml---0.2ml---0.3ml---0.4ml---0.5ml    ↓
1000分の1   維持量 以後これを注射する。
 
この減感作療法は、スギ花粉やブタクサ花粉などによる花粉症には有効と言うことはほぼ確認されています。これみより鼻や目の症状が和らぎ、使用するお薬の量も減らせます。
この減感作注射がなぜ効くかという点については以下のように考えられています。
 
 
 
①空中を飛んできた花粉は鼻や目の粘膜の中に多数ある白血球の1種であるマスト細胞と結合します。結合することによりスギ花粉の情報はマスト細胞に伝えられます。その刺激によりマスト細胞から、化学伝達物質という各種のアレルギーを引き起こす化学物質が細胞の外に放出されます。これらの細胞から放出された化学物質は目や鼻の粘膜で炎症を起こします。その結果、目や鼻の粘膜で様々な症状が出ることになります。
 
減感作療法によりスギ花粉とマスト細胞が結びつくのを妨害する阻止抗体という抗体が体の中の中で生産されるようになります。その結果、マスト細胞から各種の伝達物質の遊離する量が減るために症状が軽くなると考えられます。
 
②マスト細胞から細胞の外へ放出される化学伝達物質やサイトカインと言う物質は、細胞膜が安定化することにより外に放出される量が減少します。この細胞膜の安定化により目や鼻の粘膜の炎症が軽くなり、症状が減ると考えられます。
 
これら①、②のメカニズムは花粉症におけるアレルギーの炎症を、川の流れを例にとればより上流で抑制するということになります。一方、内服薬や点鼻薬、点目薬による治療は細胞から放出された化学伝達物質が鼻や目の粘膜に作用するのを減少させることにより症状を軽くします。減感作に比べると川の流れのより下流で症状を抑制しようとすることになります。
 
 

 
抗アレルギー薬を花粉の飛ぶ数週間前から内服すると花粉が飛び始めても、症状をある程度抑えることができる場合がよくあります。もしもこの方法がうまく行かない時は、この減感作療法は考慮すべき次の方法かもしれません。
 
 

 
減感作療法は以上のように一種のワクチン療法でありそのメカニズムはかなり理屈にかなったものといえますが、長期間にわたり注射を続けなければいけないという時間的な問題があり、また注射の嫌いな方にはあまりうれしい方法とはいえません。副作用についてはないわけではありませんので、この治療法によく熟達した専門医で治療を受けた方がよろしいといえます。
最後にコストの問題ですが、再診料と減感作注射の治療費で、3割負担の場合で一回400-500円です。
 
参考: 減感作療法はスギ花粉の最低1-2ヶ月前から開始する(季節前減感作)のが理想ですが、やむを得ない場合には花粉が飛び始めてから開始する(季節中減感作)があります。
2014/8/13