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食物アレルギー



 わかりやすいアトピー性皮膚炎と食物アレルギー

ケース①

 
母親1:この子は生後3カ月のころから湿疹が肘や膝の内側、顔面、背中、に見られ、アトピー性皮膚炎と診断され、塗り薬や飲み薬をもらっていました。5カ月になってもあまり良くならないので、血液検査をしてもらいました。その結果牛乳に反応しているといわれました。
粉ミルクから、牛乳アレルギー用のミルクに変えました。ところが1カ月たっても皮膚の状態は変わりません。アレルギー用のミルクをもっと長い期間使わないと湿疹は収まらないのでしょうか。
 
私:血液検査、これは血液中の食べ物に対する抗体をチェックするわけですが、この検査は実際は食物アレルギーでない、言いかえれば其の食べ物を食べても、何の症状が出ない場合でも結果は陽性に出る場合が食品によりその%は異なりますが、少なくありません。
 
母親1:うちの子供はそれに当てはまるのでしょうか。
 
私:1ヶ月の間一切牛乳たんぱくを摂取しなくても皮膚症状が変わらないということはお子さんは牛乳アレルギーではないといえます。
 
母親1:それでは血液検査が陽性に出たのはどのように考えたらよいのでしょうか。
 
私:食物についてのIG交代は牛乳の場合約20%前後が、実際に牛乳を飲んでも症状が出ないにもかかわらず陽性に出てしまいます。これを機陽性といいます。
 
母親1:アレルギーの検査というのはいいかげんなものなのですか。
 
私:そうではありません。この傾向は、牛乳に限らず他の食品でも同じような傾向が見られます。それどころか食物以外のアレルギーを起こす物質、例えばスギ花粉でも同じようなことが起こります。
 
母親1:??
 
私:日本人の約46%は、血液検査をするとスギ抗体が陽性に出るといわれています。しかしながら実際にスギ花粉症の症状が出る本は多くても23%といわれています。とすると46引く23は23となるわけですが、この23%の人はという人でしょうか。
 
母親1:血液中にスギに対する抗体を持っているにもかかわらず、スギ花粉を浴びてもケロッとしている人たちですね。
 
私:その通りです。言い換えれば約23%は疑陽性であったといえます。この疑陽性はスギ花粉だけではなく食物の場合も全く同じと考えてください。食物アレルギーというのは、特定の食物を食べて何らかのアレルギー症状が出るときに、食物アレルギーといいます。検査で陽性に出ても、食べて何の症状も出ない場合は食物アレルギーがあるとは言いません。これは当たり前のことですが、これがよくわかっていないと食物アレルギーの患者さんの食生活に大混乱が生じてしまいます。
 
母親1:それではもう普通の粉ミルクをほとんど飲ませて良いのですね。
 
私:ちょっと待ってください。この1カ月間全く普通の粉ミルクをあげていないわけですから、久しぶりに大量の牛乳タンパクが体の中に入ると、1カ月前と異なり、何らかの症状が出る可能性があります。負荷試験に慣れた専門医の指導のもとに、1度に大量に飲ませないで少量ずつ、様子を見ながらあげましょう。
 
 

ケース②

 
母親2:6カ月の子供ですが、先日血液検査をしてもらったところ、卵、牛乳、大豆、小麦に陽性の結果が出てしまいました。確かに、これらの食品の中では、離乳食に卵を少し混ぜたときには、なんとなく皮膚が赤くなるような気がします。卵が本当に原因かどうかを確かめたいのですか、どのようにしたらよいのでしょうか。
 
私:食物アレルギーの最終診断は、食物除去試験及び食物負荷試験です。この試験により、その食品が食べられることかどうか決めます。食物アレルギー診断の決め手です。
疑わしい食品そのもの、およびその製品を2週間きっちり除去します。その後、その食品を再び食べるわけです。その食品をやめると皮膚症状が良くなり、食べるとまた悪くなるということが確認されれば、その食品はアレルギー反応を起こしていると考えられます。その時点でその食品をやめればよいのです。
 
母親2:成長期なので栄養が心配です。反どのくらいの期間禁止しなければいけないのですか。
 
私:一般的には6カ月間中止することが一応の目安です。その後必要に応じて検査をしたり、注意して負荷試験を始めます。
 
母親2:6カ月後の負荷試験は自宅でやって良いのでしょうか。
 
私:それはやめた方が良いと思います。一定期間の除去後に再び食べさせると、今までになかったような大きなアレルギー反応が出る場合が時々見られる可能性があります。ですから食物負荷試験に慣れた専門医のもとで指示を受けながらやるべきといえます。
 
 

ケース③

 
母親3:5カ月前の子供のことですが、アトピー性皮膚炎と診断され血液検査をしたところ、卵が陽性に出ていると言われました。この子は母乳栄養なので、自分では何も食べていないのに、なぜ検査が陽性に出るのでしょうか。
 
私:3つの可能性が考えられます。
第1番目は、授乳中のあなたが食べている卵や卵製品の1部が母乳に出て、それを飲んだ赤ちゃんに抗体が出ている。
第2番目は、あなたが妊娠中に、もし大量に卵や卵製品を摂取していれば、胎盤経由でそれらの蛋白は赤ちゃんに入り、体を刺激しても卵に対する抗体を、作るようになっている。
3番目は、何らかの体質(詳細不明)により、自分でまだ卵を食べていないうちから、抗体を産生するようになった。
以上の3つが考えられます。いま赤ちゃんにとってまず必要なことは、第1番目の可能性のチェックです。
 
母親3:どのようにしたらよいのでしょうか。
 
私:あなた自身が卵及び卵製品について、2週間完全に静止を中止してみることです。そしてその後また、あなたが以前と同じように卵と卵製品を食べて、赤ちゃんに授乳してみます。先に述べた食物除去試験および負荷試験は本人について行う検査ですが、母乳栄養の赤ちゃんの場合には、母乳しか飲んでいませんので、母乳を出す人つまり授乳中の母親の食物除去試験および負荷試験をして、それを確かめるわけです。
 
母親3:母乳を通して食物アレルギーが起きる頻度は高いのですか。
 
私:私のクリニックには数多くの食物アレルギーの患者さんがおいでになりますが、母親が食べた食物の1部が母乳の中に入り、それがお子さんのアレルギーを起こすケースは、多くても月に1人か2人です。
 
母親3:私が何らかのタンパク質を食べた場合、どのくらいの母乳にいうに出てくるのでしょうか。
 
私:一般的には約3%といわれています。
 
母親3:
そんな微量なたんぱく質が赤ちゃんに食物アレルギーを起こすことができるのでしょうか。
 
私:大変に良い質問です。
母乳の中の成分がそれを飲んでいる赤ちゃんにアレルギーを起こすという現象を、分かりやすく説明するために、ママが食べたものの一部が母乳に出て、それがアレルギーを起こすと単純に説明しました。
しかしながら実際はママは食べたタンパク質の1部ではなく、母乳の中に入っている免疫細胞が反応を起こすという考え方もあります。実際、母乳の中に免疫細胞( 白血球)が入っているということは確認されています。この問題には不明の点がまだ多く今後の十分な検討が必要といえます。
しかしながら実際の場においては、母乳の中の何かが赤ちゃんにアレルギーを起こすと考えられる状況証拠は、除去、試験負荷試験により確認できますので、ご安心ください。
 
 

ケース④

 
母親4:うちの子は6カ月のときに、血液検査を受け、その結果をもとに及び負荷試験をしました。それに卵アレルギーと診断がついたの、で半年間の卵とその製品を中止しました。
半年後に、微量の卵について十分に加熱し食べさせるという負荷試験を、専門医の指導のもとに行いました。半年前と異なり、今回は量をだんだん増やして10gまで食べましたが、症状は出ませんでした。
たまたま先日、1歳時健診を受けたところ、別の先生から、血液検査で卵が陽性に出ているうちは卵を食べると、その時は症状が出なくてもだんだん蓄積していって、また症状が出るようになるので、やめた方がよいと言われました。食べるのを中止して、また制限しなければいけないのでしょうか。
 
私:食べた卵がだんだん体の中に蓄積していて、いずれ症状が出るようになるということはまずありません。食べて症状が出てしまうのは、蓄積するからではなく、いつもよりも多い量を食べさせたり、発熱や下痢など体調が悪いときに食べさせたときに出る可能性はあります。
食物減感作という特殊な治療法もあるくらいです。これは症状が出ない程度の微量の食物を続けて少しずつ、増量しながら食べていくと、食べられる量がだんだんと増えていくという治療法です。
もし食べ続けていると、体の中に蓄積するのであれば、この食物減感作療法という治療は成り立ちません。現在、十分に加熱をした卵を食べても症状が出なければ、続けてよいのです。さらに専門医と相談し、少しずつその量を増加していくとよいでしょう。
 
 

ケース⑤

 
母親5:9カ月になるうちの子供は現在も軽いアトピー性皮膚炎がありますが、卵を食べると翌日に皮膚が赤くなり、その後湿疹が悪化します。食べた当日には何の反応もないのです。これはアレルギーでしょうか。
 
私:食物によるアレルギー反応には食べて10分から15分以内に出る即時型反応と、時間以上たってから症状が出る非即時型反応の2種類があることが知られています。
非即時型反応はそのおき方については不明の点が多く、複数のメカニズムが関与していると予想されています。
私のクリニックでも、症状が翌日に出る方が年に1人か2人います。これも食物負荷試験を繰り返し行うことにより確認することができます。一般的には知られていない反応のために、見逃されたり、このような反応はあり得ないなど、と取り合ってもらえない場合もあり保護者の方が苦労する場合もあります。
 
 

ケース⑥

 
母親6:うちの子供は5ヶ月の時に、血液検査で牛乳が陽性でした。牛乳負荷試験で確認し、牛乳アレルギー用のミルクを3カ月使用しています。確かに湿疹はよくはなったのですが、完全には皮膚がきれいにはなりません。再度、血液をしましたが、牛乳以外の反応は陰性でした。食事日記もつけて、専門医に診てもらいましたが、特に特定の食物との関係は考えられないといわれました。牛乳をやめても完全に皮膚がきれいにならないのはなぜですか。
 
私:アトピー性皮膚炎は2つの要素から成り立っています。1つはもちろんアレルギー体質です。もうひとつはアレルギーとは全く関係のない体質です。それはわかりやすくいえば、弱いカサカサのドライスキンのことです。
人間の皮膚はただ単に体を覆っているだけではなく、外から体の中にさまざまの刺激が直接入り込まないようなバリアを形成しています。カサカサのドライスキンはこのバリア機能がうまく働いていないのです。
アトピーのお子さんにトビヒが多かったり、水イボが出やすいだけでなく再発したり、治り難いのは、このバリア障害によるものと考えられています。
お子さんもアトピー性皮膚炎を形成する要素のひとつであるアレルギー的な部分は、牛乳を止めることにより、大幅に減少したといえます。しかしながらもうひとつの皮膚の大事な機能であるパリや機能がのこっているといえます。ですから現時点では皮膚はつるつるにはならないのです。
この弱い皮膚は牛乳を止めただけでは、よくはなりません。各季節ごとの適切なスキンケアー、言い換えれば保湿が重要といえます。
 
 

まとめ

 
食物アレルギーは、検査で陽性に出ても、診断が確定したわけではありません。食物除去試験、負荷試験が不可欠です。日常良く食べる食品では、検査で陽性に出ても、実際には食べられる場合が、20-60%もあります。これを知らないと、不必要に除去を継続することにもなりかねません。

2014/8/13