カテゴリー別Q&A
Q20 花粉症治療について
お忙しいところ失礼いたします。
花粉症治療(減感作療法)の開始を検討しています。自身の生活スタイルや治療費等から舌下療法よりも皮下注射療法のほうが希望なのですが、貴院では皮下注射療法はおこなっておりますでしょうか。
また、20代前半のころに予防接種で生ワクチンを接種したところ、強めのアレルギー症状がでたことがあります。それまでは、どの予防接種でもアレルギー反応がでたことはありません。その場合でも皮下注射療法を受けることはできますか。
ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
A20 減感作療法または舌下免疫療法、またはアレルギー性鼻炎
皮下注射による減感作は実施しております。
小生は皮下注射法は47年間、舌下は保険適応の前から約10年間実施しております。
減感作は1910年代からこの100年間、経験的に行われているアレルギー科特有の治療法です。
舌下とのメリット、デメリットを列挙します。
ご検討ください。そのうえでお返事ください。いずれも3年間は継続する必要があります。その後どうするかについては、ケースバイケースです。
皮下注射
(1)毎週、来院し皮下注射を行います。徐々に増量します。有効であれば2年目から注射間隔を1から2週に開けます。
(2)何年も副作用なしに継続している患者さんでも、数百人に一人は注射直後にショック(アナフィラキシー)になりことがあります。
この副作用は事前にキャッチできず、大変に厄介な問題です。小生の長いアレルギー専門医としての47年のキャリアの中で、減感作後にアナフィラキシーになったケースは20数例あります。
舌下療法
(1)この10数年、世界中で舌下減感作療法の有効性について検証が多数行われました。その結果、臨床的効果は皮下注射法に比べて、医学統計的に差はないという結論です。
(2)舌下は毎日やる必要があります。それは1回に実施により口の粘膜から吸収される量が、皮下注射法よりかなり少ないために毎日やる必要があります。したがって自宅で行い、月に1回、病院へ行き、処方してもらいます。 以上
Q19 ハウスダスト
先日は、診察して頂きありがとうございました。ハウスダストレベル5、スギレベル2の結果でした。以下、質問させてください。
1、朝晩(特に明け方)咳、くしゃみ、鼻水が激しい状況です。チリダニ対策は出来る範囲で行なっていますが、娘が辛そうです。何か改善策はありますか?薬の処方など。
2、今後、アレルギーのレベルが下がる(快方に向かう)ことはあるのでしょうか?
3、赤ちゃんの頃は症状がなかったのですが、自宅などか埃っぽいせいで、アレルギーになってしまったと考えられるのでしょうか?
4、診療では、鼻水を吸って頂くことはできますか?
箇条書きな質問となり、申し訳ありませんがご回答よろしくお願いします。
A19 舌下免疫療法
内服薬でアレルギー性鼻炎の症状が治まらなく、咳も風邪(呼吸器感染症)が原因でなければ舌下免疫療法を試すとよいかもしれません。
チリダニによるこの舌下免疫療法は5歳から保険適応になりました。可能なら拝見して
治療方針を検討いたしましょうか。
ちなみに鼻腔はかなりひどく鼻汁を完全に吸い出すのは困難です。
お出でになれば、模型でご説明いたします。
Q18 経口減感作療法
こんにちは。花粉シーズン到来でお忙しいことと思います。お答えをいただけたら幸いです。
ハウスダスト・スギ花粉アレルギーの5歳女児・ヒノキスギ花粉アレルギーの32歳会社員です。
経口減感作療法に大変関心があります。
貴医院で経口減感作療法を希望者にはおこなっているそうですが5歳の女児でも可能でしょうか?
ハウスダストアレルゲンについてもおこなっていますか?
通院頻度はどのくらいでおこなえますか?
保険適用外ということですが、具体的にはおいくら位かかりますか?
国内で一般的にこの治療がおこなえるようになるのは何年後くらいになるとお考えですか?
A18 減感作療法
経口減感作療法は、当クリニックでも他に方法がないときは、行っていますが、保険適応でないため、現時点では自費扱いになります。
現在、治験が行われています。その結果を見て、厚生労働省は認可の是非を決めると思われます。
3/17 経過報告と皮膚の状態
こんばんは。お世話になっております。3・7に受診、3・14に電話にて連絡いたしました。
鼻詰まりは解消され、今日はフルナーゼ点鼻薬を昼の1回のみにしてみましたが、詰まる様子はなく調子いいようです。飲み薬はジキリオンをやめて4日たちます。現在は朝・・・オノン、ゼスラン。夜・・・アレジオン、クラリチン、オノン、ゼスラン。を飲んでいます。
ところで、おとといから頬の皮膚に異変がありました。画像を添付いたします。
今から思いますと、受診したときにどうして皮膚も見ていただかなかったのかと悔やまれます。
実は、1月中旬から胸に水いぼがあります。
当初、受診しているアレルギー科の医師に乾燥性の湿疹と言われ、アズノールでしっかり保湿し、痒いだろうからオイラックスHクリームをたっぷり塗るようにとのことでした。
その2週間後、そしてまた2週間後にもポツポツが消えないことを言いましたが、保湿のみの指導でした。そしてそちらに伺う前日の3・6に受診したところ水いぼと言われました。
すぐに別の皮膚科を受診しましたが、様子を見るしかないとのことでした。
せっかく遠くまで受診しに行くのだから皮膚の事でせっかく永倉先生に見ていただける時間を無駄にしたくない!と思い前日に皮膚科の用事も済ませたつもりでした。
そして、やっと届いた先生著のアトピー&アレルギーBOOKを読んで泣きそうになりました。
もう、水いぼは大分増えて腕にも広がっています。ステロイドが含まれるオイラックスと、トラブルが出ると塗っていたロコイドをやめたせいか、膝の裏、おなか、ひじ、手首がとてもかゆそうです。耳切れはありません。
舌下減感作は毎日昼間3時頃おこなっています。子供に「舌の裏」を意識させるのが難しく、コンペイトウを舌裏に置いてからエキスを注入しておりますが、問題はないでしょうか?今日で10日おこなったことになります。皮膚の状態と関連はありますでしょうか?また、薬を減らしたことも同様に関連はありますでしょうか?
お忙しいことと思いますが、お返事お待ちしております。
受診した方がよろしければ、もうすぐ春休みに入りますので受診しに上京します。
よろしくお願いいたします。
3/23 回答メール
舌下減感作
この治療法で皮膚に発疹が出ることはあまりありません。
パンを小指の頭くらいの大きさにして、舌下に置き、そこに減感作液をたらすと良いでしょう。それから舌を閉じてください。
皮膚炎はおそらく、季節の変わり目の、寒い日と暖かい日が交互に来るような、今の季節はお肌が弱い方は皮膚が負けてしまいがちです。
水イボはピンセットでとらないで、硝酸銀の液を薄くそこにつけると、うまく取れる場合が多いのです。当クリニックでは、お子さんに痛みを与えないこの方法を、このところ、行い、好評です。
水イボをさけて今までのお薬を塗ってはいかがですか?
Q17 減感作療法について(妊娠・授乳中の場合)
こんにちは。10年以上花粉症(スギとヒノキ)に悩まされています。
一昨年、近所の病院で花粉の季節(2月~4月) だけ注射を打ったら特有の症状がピタっととまりとても楽に過ごすことができました。昨年はお腹に赤ちゃんがいたのと出産(3月)のため注射は辞めていて薬も飲みませんでした。驚いたことに昨年は何もしていないのに花粉症の症状が全くでませんでした。しかし、今年は例年通りクシャミ、鼻水、目の痒みに悩まされています。
先日、同じ病院で再度診てもらいまた注射を打つことになりました。(2週間おきに)薬は麻黄湯と葛根湯加川キュウシンイを処方されました。(赤ちゃんは11ヶ月でザジテンDSと白虎加人参湯エキス細粒を飲んでいます。)
授乳中でも問題がないと言ってはいるのですが、本当に大丈夫でしょうか?
また、この病院では花粉の季節以外に注射をうつように強く言われないのですが減感作療法を行なう場合、通常1~2年はかかるようですが途中で妊娠した場合は問題はないのでしょうか?
お返事お願い致します。
A17 減感作療法
通常、減感作は(1)季節前減感作(11-12月から毎週1ー2回の注射)、(2)季節中減感作 、(3)急速減感作(入院して15分おきに1日に合計20回注射する) の3つのやり方があります。もしも、効いたとすれば(2)かもしれません。
減感作は継続中の場合は妊婦になっても継続します。新規には開始しません。
妊娠は体の免疫に大きな変化を与えるので、アレルギーの病気がよくなったりまたは悪くなる場合があります。一般的にリウマチは妊娠により悪化する場合が多いのです。それ以外の病気は個人により異なります。
私は漢方医ではありませんので、断定的なことはなんともいえません。母乳には母親の摂取したもの(食べ物、お薬など)の数%が出てきます。一般的で安全な漢方ならば良いかもしれません。
花粉症は、その年に飛散する花粉量で症状は大きく変わります。
一昨年は大飛散でした。昨年は一昨年の十分の一の飛散量でした。そのため症状が軽かった人が多いのです。今年は昨年とほぼ同様の飛散量と予測されています。花粉お飛散量は今述べたように、その年に異なるため、薬の効果は、花粉飛散量もあわせて考えないと正しく判断できないのです。
Q16 減感作療法
1歳5ヶ月の息子に卵、牛乳、ダニのアレルギーがあり、卵牛乳は現在除去をしていますが、つい先日の血液検査でコナヒョウダニに34.6UA/ml という数値が出ていて、喘息も発症しているようで、減感作療法に関心を持っております。ダニの減感作療法は何歳から可能なのでしょうか。
A16 減感作療法
歴史的にはこの治療法は、1920-30年ころから、経験的に行われていました。
医学的に、その効果について、裏付けのあるのは花粉症です。ブタクサ、樹木、日本ではスギ花粉症です。当クリニックでもスギ花粉症の方には多数行っています。
一方、ハウスダストによる喘息に関しては理論的に効くはずなのですが、実際は、その効果について花粉症ほどは効きません。
その理由としては、ハウスダストアレルギーの元であるチリダニで以前は一般的に減感作をしていたのですが、だいぶ以前に、アナフィラキシーショックによる死亡例(?)が出たためか、厚生省はチリダニによる減感作療法を禁止しました。
そのため、どうしても行う場合には、不純物の多いハウスダストの抽出液を使用せざるを得なくなりました。これがハウスダストによる減感作が効きにくい理由のひとつです。
喘息に減感作が効きにくいもうひとつの理由は、小児喘息はハウスダストが原因の場合が80-90%ですが、実際の発作は、ハウスダスト以外の、風邪、冷気の吸入、運動、タバコの煙などの刺激物の吸入、前線の通過など多数の誘因が原因で引き起こされます。。
仮に減感作が効いたとしても、これはハウスダスト以外の、風邪、冷気の吸入、運動、タバコの煙などの刺激物の吸入、前線の通過などによる反応は抑えません。従って効きにくいのです。
まして小児に毎週の注射を何年も繰り返すことは、小児にとってかなり苦痛です。基本的にはお勧めしません。
このHPの病気の項目にもありますが、家庭内、特に寝室のハウスダスト対策をされるほうが、効果的でしょう。
そのポイントは寝具です。もしも関心がおありならば、紹介いたします。防ダニ商品にはJIS規格が適応されません。ですからインターネットなどの宣伝には要注意です。
12/3 お礼メール
とても丁寧なご説明をいただきましてありがとうございました。
ダニの減感作療法はあまりお勧めではないということですので、住環境を整備することで症状を抑えるという努力を続けていこうと思います。掃除機は排気がきれいでパワーがあるというヨーロッパ製のものに替えて毎日布団に掃除機をかけてはいるのですが、掛け布団も敷き布団も家族の分すべてとなるとさすがに最近疲れてしまっているので、先生が他の方の質問に対する回答の中でお勧めされていた布団カバーの購入を考えようと思います。
このたびは本当にありがとうございました。
12/3 回答メール
防ダニ対策
基本は寝具です。さまざまな防ダニ布団が宣伝されていますが、きちんとした医学データのあるもので、アレルギー専門医から評価を受けているのは、帝人のミクロガードという繊維です。
この繊維で作った布団は敷き布団、夏用、冬用の合計3枚で15万円もするので、実用的ではありません。
そこでお勧めはこの繊維で作った布団カバーです。これを使用するとチリダニはかなり減ります。
代理店のヤサカ産業の宮坂さんに電話するとよいでしょう。この方とは大学勤務のころからの知り合いで、10年以上のお付き合いです。お子さんもアトピー性皮膚炎だったので、相談しやすいでしょう。
私の紹介といってください。商品を売りつけないでくださいといってあります。現在ご使用中の寝具を説明して、カバーなどについて質問するとよいでしょう。 Tel: 0120-451-396。
Q15 減感作療法について
はじめまして。私は現在大阪に住んでおりまして、アトピーを患っております。少し状況を説明させていただきたいと存じます。
実は私は3ヶ月ほど前までカナダのウィニペグという都市にいまして、そこには4年ほどいたのですが全くアレルギー症状は出ませんでした。元々生まれてからアトピー(と喘息もほんの少し)がございまして、カナダに行く前も湿疹があるような状態だったのですが、カナダに行ってからは見違えるほどに良くなり、二度と再発はしなかったのです。ですが日本に帰りますと、最初にひどい目のかゆみの伴う結膜炎と、ひどい喘息に襲われました。その後一週間ほどしてから徐々に肌の方にもアレルギーが出てきまして、最近では喘息はございませんが、少し目のかゆみがございまして、肌の方はかなりひどくなっております。(このような症状は去年の夏に日本に帰国したときにも起こっております。)
そんな中、私のアトピーというものは何かのアレルゲンに反応しているという思いが強くなり、どこかで私のアレルゲンを徹底的に調べていただける施設がないかと、現在探しております。しかし、今のところ、日本ではアレルゲンエキスを十分に取り揃えていらっしゃる病院が少ないような印象を持っております。日本のメーカー様では鳥居薬品様が唯一アレルゲンエキスを製造販売されていますが、肝心のダニなどいくつかの治療用のアレルゲンエキスが輸入以外に入手不可能とお聞きしております。そんな折、アメリカのアレルギー学会(AAAAI)のホームページで先生のお名前を拝見させていただきました。そこで質問させていただきたいのですが、そちらの病院では海外から輸入したアレルゲンエキスで治療はされてますでしょうか?
A15 減感作療法
この治療法は、1920年代から花粉症をはじめとして、行われています。アレルギー症状の原因となるアレルゲンを週に1-2回、数年間注射する事により抵抗性をつけるものですが、欠点があります。それは原因物質のごく微量を症状が出ないようにきをつけながら、注射するのですが、何百回ー何千回に1回くらいの割合で、アナフィラキシーという激烈なアレルギー反応を起こすことがあります。万一、死亡したり、何らかの後遺症が残る可能性もあるために、アレルギー専門医しか行いません。
万一事故が起きた場合には、厚生労働省の認可したアレルゲン(薬品)であれば保障の対象になりますが、無認可のアレルゲンを使用した場合には、それを注射した医師の責任となります。その場合、あらかじめ同意書をいただいていても、裁判になると医師側の立場はは弱くなります。
従って、申し訳ないのですが、私は米国製のアレルゲンでは、現時点では使用しておりません。しかしながら日本アレルギー学会ではこの問題を何とかしようと検討中です。
また減感作療法に代わる抗IgE抗体を注射する治療法も近年中に認可されましょう。
さて、あなたの場合、アレルギー専門医に良く話しを聞いてもらい、皮膚検査、血液検査、 負荷テストなどを総合的に組み合わせてアレルゲンをチェックしてもらってはいかがですか。
Q14 減感作療法のできる年齢やタイミングはいつでしょうか?
現在小学校低学年の子供に花粉症のような症状が出てきてしまいました。減感作療法を受ける場合、なるべく時間の作りやすい子供のうちの方が良いのでは?と考えておりますが実際治療を受けさせていただく場合はどのぐらいの年齢、症状が出た場合がよろしいのでしょうか?
A14 減感作療法
減感作療法は1,920年代から行われた方法です。基本的には花粉症で行われます。原因物質の花粉を何千万倍にも薄めて、少量ずつ週に1回ないし2回注射していきます。一種のワクチンです。しかしながら、はしかのワクチンは1度注射すればつきますが、スギ花粉症では1度の注射では免疫はつきません。そのために週に1回-2回の間隔でかなりの期間続けなければなりません。
スギ花粉の場合には11月末か12月ころから週1回-2回で開始し、スギ花粉が終わる4月-5月からは月に、に1回です。そしてまた次のシーズンの1カ月くらい前から週に1回または2週に1回注射していきます。これを2年-3年続けると免疫がつくようになるのです。
通常に3年は続ける方が一般的です。しかしながら欠点があって、定期的に注射に通わなければならないために時間的な制約が多いこと、注射をいやがる小児の場合にはなかなかやっかいであるということです。
減感作は、アレルギー症状の原因物質である、例えばスギのエキスを注射していくために、まれですが注射直後に血圧が下がったり、呼吸困難になる、1種のショック状態ですが(これをアナフィラキシーといいます)、これが起きる可能性があります。この可能性があるので、この治療法になれた専門医の下で行うことがお勧めです。
しかしながら現在では世界のアレルギー学会が認めているスタンダードな治療法といえます。
お子さんの場合注射を週1回継続的に本人が我慢できるかどうかということが最大の問題点です。コストの問題ですが再診料と注射治療の3割負担で1回約500円弱です。
この治療法に関心がおありならば、クリニックで直接ご説明いたします。
Q13 舌下減感作療法
この春は花粉の飛散が多かったこともありますが、今年6歳になる息子も悲惨なほど花粉症の症状が出ました。これから毎年のことでもあるので減感作療法をできれば受けさせたいと思ってますが、子供のため注射よりも舌下療法でと思っています。舌下療法は行って頂けるのでしょうか。
A13 舌下減感作療法
この治療法は国内ではまだ保険適応ではありません。自費診療となります。
すでに、小児、成人でも何人かのかたが、当クリニックでこの治療法を受けていらっします。
一度、おいでいただき、お話をしたいと思います。
Q12 花粉症の治療について
花粉症の「減感作療法」を受けたいと思っておりますが、これは症状が出てからでは遅いのでしょうか。その場合、来年に向けてどの位の時期から始めればよろしいのでしょうか。治療を受ければ、多少でも症状が緩和されるようでしたら受けたいと思っております。よろしくお願いします。
A12 減感作療法
花粉アレルギーに対する減感作療法は、1,920年代から行われています。これは何千万分の1にも薄めた花粉のエキスを、週に1ー2回注射していくものです。定期的に注射することにより、体の中にその花粉に対する抵抗性の抗体が産生されたり、花粉に対する白血球の反応が弱くなったりすることを利用する治療法です。
確かに有効な場合が多いのですが、問題は週に1ー2回数年間通院する必要があるために非常に手間がかかるという点です。スギ花粉の時期が終われば1-2ヶ月に1回行います。
またまれですが、注射して10分から15分後に、血圧が低下したり、全身にじんましんが出たり、場合によっては呼吸困難になったりする場合がときに見られます。ですからこの治療法に慣れた専門医以外はこの治療法を行っていないのが現状です。減感作療法には季節前減感作というものがあります。これはスギ花粉を例にとれば11月から12月ころから開始し、花粉の飛散がピークになる2ー3月には注射量がほぼ維持濃度に達しているという方法です。
これに対し季節中減感作という方法もあります。花粉が飛び始めてからあわててやる方法ですが、これでも週に1ー2回やれば症状はかなり軽くなる場合もよく見られます。
もしこれから始められるとすれば週に2回は必要でしょう。それによりこれからの症状が軽くなるという可能性は十分に期待できると思われます。
そうでなければ来シーズンまでしっかり抵抗力をつけておくということで、今から注射週一回を行って行くという方法も良いと思われます。
最後に参考までに。減感作療法以外にもいくつかの免疫療法は現在治験の状態です。しかしながらこれらがうまくいっても厚生省が認可するまでにはまだ数年はかかりますので、それまでは減感作で治療しておくとよいでしょう。
今後の治療法(治験中)
(1)舌下減感作、今までのところイタリア中心の治療法。注射ではないが大量のスギ花粉エキスを舌のくぼみに滴下する。)
(2)抗IgE抗体の注射。スギ花粉シーズン中に3-4回の注射でよいが、高価(1本2-3万円?)効くが厚生労働省の認可まで時間がかかる。USAでは既に使用されている。)
(3)ペプチド療法
スギ花粉の情報が細胞に伝達されないようにブロックする蛋白質を注射する。日本で開発された。臨床例がまだ少ないが、今後例数が増えれば有効性について具体的な数字が出そう。)
Q11 アレルギー注射と脱毛の関係について
現在花粉症とハウスダストをアレルギー注射で治療中ですが、IPL脱毛(インテンスパルスライト)しても問題ないでしょうか?
先日カウンセリングのとき、確認する様に言われたので申し訳ないのですが教えていただけたらと思います。
A11 減感作療法とIPL脱毛
減感作療法は70-80年間行われていますが、両者の関係についての医学データ、文献および症報告は目にしたことがありません。まず関係ないでしょう。
Q10 動物アレルギーの減感作療法はありますか?
現在、猫アレルギーの治療中です。症状は発熱(微熱)と身体のだるさのみ、くしゃみや鼻水などはありません。
猫はアレルギーと分かる前に飼い始めました。猫に近付かないのが一番なのは分かっているのですが、預けられる人もおらず、飼い続ける以外にありません。
服用薬による治療を行っているのですが、今の所あまり目に見えた効果は現れてません。
元々アレルギー体質で、子供の頃、鼻炎治療の為に減感作療法を受けた事があり、その際かなり緩和されました。
薬の服用だけでは心許ない気がして減感作療法も受けたいと考えているのですが、動物アレルギーの場合、その療法は在るのでしょうか?
A10 減感作療法
現在、本邦で行われている減感作はスギ花粉症、ブタクサ花粉症、カモガヤ花粉症などです。またハウスダストによるアレルギー性の喘息にも行われる場合があります。
しかし、残念ながら猫、犬、モルモット、マウスなどに対する減感作療法は行われていません。それようの注射液もありません。その理由の一つは猫やハムスター、マウスなどのアレルゲンを注射するとショックになる可能性あるからと思われます(私も怖くてできません!)。
減感作療法には注射直後のアナフィラキシー(注射の15分以内に呼吸困難、低血圧など生命に関わる重症のアレルギーの状態。ペニシリンショックなどもこれに含まれる)が起きる潜在的な可能性があるため、アレルギー専門医でもアナフィラキシーの起きる可能性のあるこれらの注射は、現時点では行いません。将来、アナフィラキシーを起こしにい減感作液が登場すればもちろんOKです。
お礼メール
早速の回答、ありがとうございました。
そうですか、動物系にはございませんか。
アナフィラキシーの可能性があるなんて想像もしませんでしたので、とても驚きました。
ネットを巡っている中で、「猫アレルギーには急速減感作療法がかなり有効のよう」という内容の、過去や現在進行形の実体験に基づくものに出会っていたので、もしやと思い質問させて頂いたのですが…残念です。
けれど、詳しいお話が聞けて良かったです。本当に有り難うございました。
Q9 減感作療法について
成人の慢性気管支喘息の治療においては、最近は根底にある気管支の慢性炎症状態の軽減・改善を目的とする低用量ステロイド剤がfirst choiceの治療法であると認識しておりますが、一般の人びとの耳ざわりの良い「免疫療法」という表現で減感作療法を推奨している施設があります。減感作療法を免疫療法と言い換えることについては問題はないと思いますが、減感作療法は時間とコストが要する一方、効果についての確証が乏しいことから第4ないし第5番目の治療optionではないかと思われます。この点についてのコメントをいただけませんでしょうか?
希望/要望:数年前から用賀アレルギークリニックのホームページに注目し、比較的頻繁にチェックさせていただいておりますが、(昨年暮くらいから?)ホームページの「見え方」が大幅に変更されましたよね。でも、ハッキリ申し上げて、とても見にくいです。以前の方が断然よかったです。以前のフォーマットに戻すことをぜひご検討ください。
PS:医学雑誌上で先生の考え方やご経歴を知り、アレルギーに取り組まれているNo. 1 private practitionerと敬拝申し上げております。「どこか良い施設をしらないか?」と質問を受けた場合にはアレルギー関連疾患の場合には用賀アレルギークリニックを紹介しております。実際に受診した人には好評です。蛇足ながら、postscriptとして書き足しました。
ご多忙中とは存じますが、質問事項に対するご返答をお待ち申し上げます。
よろしくお願い申し上げます。
A9 減感作療法と喘息
貴重なご意見ありがとうございます。HPの製作スタッフと相談し、ご意見を参考にさせていただきます。
減感作療法はスギをはじめとする花粉症にもっとも有効です。喘息については、ハウスダスト(チリダニ)喘息であれば比較的有効ですが、非アレルギー型(感染型など)のタイプには効果は期待できません。
30年前は喘息治療に広く行われましたが、現在ではあまり行われていない理由としては注射用のアレルゲンの問題があります。
理論的には減感作療法にはできるだけ純粋なアレルゲンを患者さんが耐えうる最高量のアレルゲンを注射します。したがってハウスダストよりもその主成分であるチリダニで減感作療法をすることが理想的です。
何年か前に、ある病院でチリダニで減感作をした患者さんが重症なアナフィラキシーを起こしました(死亡例かは不明です)。メーカーはPL法もあり、責任を取りきれないということで、チリダニエキスの使用を実験室内の実験に限り、臨床での使用については認めない方針を採りました。専門医にとっては減感作療法を行っている限りこのアナフィラキシーの可能性は常に頭にあり、それが起きたときにはすぐ治療できる体制をとっていますが、一般的にはかなり心配になります。
チリダニ喘息にはチリダニで減感作療法するのがベストですが、上に述べたような理由で力価の弱いハウスダストで減感作療法をせざるを得ないことも、効果が今ひとつという原因かもしれません。チリダ二喘息に対する急速減感作療法というのがあります。入院して15分おきに注射をしてゆくやりかたです。これは有効であるという報告がありますが、どこでもできるわけではなく、追試のデータが十分にあるわけではありません。ハウスダストが主な原因アレルゲンでそれからの回避が困難な場合に試すべき方法といえましょう。すべての患者さんにあてはまる治療法ではないでしょう。
ちなみに当クリニックでの減感作療法の現状は以下のようです。スギ花粉症の 減感作療法は40-50人の患者さんに行っています。HDによるアレルギー性鼻炎には3人、喘息には2人のみです(この二人は東京に転居してきた方たちで、以前の治療を継続して欲しいというご希望でした)。4年間で減感作療法の注射後のアナフィラキシーは4人に見られましたが、直ちに治療をして特に問題はありませんでした。
Q8 花粉症の治療について
花粉症の治療には注射が有効だと効きましたがどのような注射でなぜ利くのですか?またそちらでは注射による治療は行っていらっしゃいますか?
A8 減感作療法
注射によるスギ花粉症の治療法には現在3つの種類があります。
1番目は減感作療法と呼ばれるものです。これは何千万倍にも薄めたスギ花粉のエキスを、週に1-2回注射していく方法です。人間の体は非常にうまくできていて、ごく微量のスギ花粉が入るとアレルギー症状を起こし、大量のスギ花粉が入るとアレルギーを抑制するタンパク質が体の中から誘導されたり、アレルギー反応を起こす白血球の活性化が抑えられたりします。
2番目はヒスタグロブリンという注射を週に1-2回行います。この注射液は成分の1部にガンマグロブリンいう人の血液成分が入っているため、使用する前には患者さんからその治療についての同意が必要です。この注射によりエイズになったり肝炎になったという報告は現在までに一例もありません。しかしながらミドリ十字の事件以来、あまり用いられなくなりました。私のクリニックも使用しておりません。
3番目はケナコルトというステロイドホルモンの注射です。これは油にとかしたステロイドホルモンを筋肉内に注射する方法です。油の中にホルモンが溶けているために筋肉内で長い時間とどまります。だいたい1カ月かけて少しずつ体の中に溶け出していきます。つまり1時間ごとにステロイドホルモン剤を内服しているのと同様の効果があります。このような注射は体にいいことがあるわけがありません。女性では生理が狂ったり、軽い精神症状が出たり、毎年打ち続けると女性の場合、骨粗しょう症がひどくなる可能性があります。また注射部位がへこんだりすることがあります。
しかしながらよく効くため、4月のプロ野球の開幕時に、スギ花粉症に悩まされる野球選手が使用したり、プロゴルファーが使用したりします。そのような記事がスポーツ新聞に出たりして有名になりました。専門医でこのような治療をしているところはありません。この治療は全くお勧めできません。しかしながらずっと昔に保険に適用があると認められたため、注射することは違法ではありません。
問題があるのはこのような注射を特別な治療だからといって保険を適用しないで法外な治療代を請求する場合です。単に医学的に問題があるだけではなく、倫理的にも問題があると私たちは考えています。
さてご質問の治療法は第1番目の減感作注射と考えられます。上で述べたようにこの注射をすることにより、体の中にスギ花粉に抵抗性の抗体が出来たり、アレルギー反応を起こす白血球がその活性化を抑制されたりすることにより、症状を抑えます。しかしながらスギが飛んでいる期間中は週に1-2回は注射する必要があります。オフシーズンには3-4ヶ月に1回行います。3年間くらいでいったん中止する場合も見られますが、有効であった方は完全には中止しないで、年に数回は注射するという形をとっている方が多いといえます。
原因の物質を体に注射するわけですから、ごくまれに注射後に血圧が下がったり、呼吸が苦しくなったりすることがあります。しかしながら専門医はそのような治療法には慣れておりますので、あわてずに対処しています。
費用は保険診療で、3割自己負担の場合、再診療と注射で合わせて自己負担金は4-500円というところです。
Q7 経口減感作療法
こんにちは。花粉シーズン到来でお忙しいことと思います。お答えをいただけたら幸いです。
ハウスダスト・スギ花粉アレルギーの5歳女児・ヒノキスギ花粉アレルギーの32歳会社員です。
経口減感作療法に大変関心があります。
貴医院で経口減感作療法を希望者にはおこなっているそうですが5歳の女児でも可能でしょうか?
ハウスダストアレルゲンについてもおこなっていますか?
通院頻度はどのくらいでおこなえますか?
保険適用外ということですが、具体的にはおいくら位かかりますか?
国内で一般的にこの治療がおこなえるようになるのは何年後くらいになるとお考えですか?
A7 減感作療法
経口減感作療法は、当クリニックでも他に方法がないときは、行っていますが、保険適応でないため、現時点では自費扱いになります。
現在、治験が行われています。その結果を見て、厚生労働省は認可の是非を決めると思われます。
3/17 経過報告と皮膚の状態
こんばんは。お世話になっております。3・7に受診、3・14に電話にて連絡いたしました。
鼻詰まりは解消され、今日はフルナーゼ点鼻薬を昼の1回のみにしてみましたが、詰まる様子はなく調子いいようです。飲み薬はジキリオンをやめて4日たちます。現在は朝・・・オノン、ゼスラン。夜・・・アレジオン、クラリチン、オノン、ゼスラン。を飲んでいます。
ところで、おとといから頬の皮膚に異変がありました。画像を添付いたします。
今から思いますと、受診したときにどうして皮膚も見ていただかなかったのかと悔やまれます。
実は、1月中旬から胸に水いぼがあります。
当初、受診しているアレルギー科の医師に乾燥性の湿疹と言われ、アズノールでしっかり保湿し、痒いだろうからオイラックスHクリームをたっぷり塗るようにとのことでした。
その2週間後、そしてまた2週間後にもポツポツが消えないことを言いましたが、保湿のみの指導でした。そしてそちらに伺う前日の3・6に受診したところ水いぼと言われました。
すぐに別の皮膚科を受診しましたが、様子を見るしかないとのことでした。
せっかく遠くまで受診しに行くのだから皮膚の事でせっかく永倉先生に見ていただける時間を無駄にしたくない!と思い前日に皮膚科の用事も済ませたつもりでした。
そして、やっと届いた先生著のアトピー&アレルギーBOOKを読んで泣きそうになりました。
もう、水いぼは大分増えて腕にも広がっています。ステロイドが含まれるオイラックスと、トラブルが出ると塗っていたロコイドをやめたせいか、膝の裏、おなか、ひじ、手首がとてもかゆそうです。耳切れはありません。
舌下減感作は毎日昼間3時頃おこなっています。子供に「舌の裏」を意識させるのが難しく、コンペイトウを舌裏に置いてからエキスを注入しておりますが、問題はないでしょうか?今日で10日おこなったことになります。皮膚の状態と関連はありますでしょうか?また、薬を減らしたことも同様に関連はありますでしょうか?
お忙しいことと思いますが、お返事お待ちしております。
受診した方がよろしければ、もうすぐ春休みに入りますので受診しに上京します。
よろしくお願いいたします。
3/23 回答メール
舌下減感作
この治療法で皮膚に発疹が出ることはあまりありません。
パンを小指の頭くらいの大きさにして、舌下に置き、そこに減感作液をたらすと良いでしょう。それから舌を閉じてください。
皮膚炎はおそらく、季節の変わり目の、寒い日と暖かい日が交互に来るような、今の季節はお肌が弱い方は皮膚が負けてしまいがちです。
水イボはピンセットでとらないで、硝酸銀の液を薄くそこにつけると、うまく取れる場合が多いのです。当クリニックでは、お子さんに痛みを与えないこの方法を、このところ、行い、好評です。
水イボをさけて今までのお薬を塗ってはいかがですか?
Q6 数値がかなり上昇してしまった原因は?
回答メールありがとうございました。
お忙しいところ大変申し訳ないのですが、もう点だけ教えていただけないでしょうか?
今回減感作開始から1年半経った時点で数値がかなり上昇してしまった原因としてはどんなことが考えられるのでしょうか?
また今後続けていくことで数値が下がる可能性はあるのでしょうか?
減感作に詳しい医者が帯広にはいなくて困っていたのですがこのようにメールでご相談ができて本当に良かったです。ありがとうございました。
A6 減感作療法
その理由としては、これといったものは考えられませんが、しいてあげるならば
(1)これから低下するかもしれない。
(2)減感作の有効性の期序についての学説は、特異的IgE抗体の推移以外にもまだあるのです。たとえばリンパ球からのサイトカインという炎症を引き起こす物質の産生、遊離を抑制するという論文もあります。したがってすべてをIgE抗体で説明することに無理があるのです。
ですから、減感作をして、症状が軽くなっているにもかかわらず、IgE抗体の推移とは相関が見られない場合もあるのです。今回はそれかもしれません。
(3)ありえないことですが、減感作の注射液の保存期間が長過ぎて、注射液中のアレルゲンの力価が低下しているかもしれません。通常は数週間で作り替えます。
Q5 減感作療法
1年半前、血液検査でスギ、カモガヤ、ブタクサの数値が高いと診断されました。仕事がら薬を飲むことができないので、症状はそれほどひどくなかったのですが、減感作療法を薦められ注射をうち始めました。今月ではじめてから1年半になるのですが、血液検査をしたところ減感作開始まえの数値よりほぼ2倍と上昇してしまいました。減感作によって数値が上がってしまうということはありうるのでしょうか?減感作によって数値が上昇したとすれば今後やめたほうがよいのでしょうか?
A5 減感作療法
数字とは何の数字でしょうか?
IgEでしょうか、それとも特異的IgEでしょうか。これらの点を具体的にお教えください。それからお答えします。
具体性に欠けてしまって申し訳ありませんでした。
数値というのはRASTという数値のことだそうです。
単位はUA/mlで減感作前と先週測った具体的な数値は以下のようです。
> > スギ 40.7→85.8
> > カモガヤ 47.9→100以上
> > ブタクサ 11.7→56.3
と上昇がみられました。減感作を行っているのもうえの3種です。症状自体は軽かったのですが、現在パイロットの訓練生をしており、航空身体検査でアレルギーの血液検査があるため、少しでもこの数値が下がればと思い1年半前に減感作にふみきりました。しかしこのように数値が上昇してしまいかなりショックです。まずこの上昇の原因として何が考えられるのか?また今後続けることでこの数値がさがる可能性はあるのかを教えていただきたいのです。また薬以外で数値を下げる方法があれば教えていただきたいです。お手数をおかけしますがよろしくお願いします。
通常、減感作を正しく継続すると1-2年でI特異的IgE抗体は低下する場合が多いのです。しかしその低下には個人差があり、減感作が効いて症状が軽くなっても、抗体価にはあまり目だった低下が見られない無い場合もあります。
減感作を行うことにより、体の中で作られる特異的IgE抗体と花粉などのアレルゲンが接着するのを妨害する遮断抗体というものを測定することにより減感作の有効性をチェックする方法もありますが、それは研究室レベルです。したがって特異的IgE抗体が急に下がらなくても、症状のほうが軽快していれば問題ないでしょう。減感作は数年継続されるのがよいでしょう。
Q4 減感作療法
私は24歳のOLです。
幼いころからアレルギー性鼻炎なのですが、12歳のとき、アレルギーを引き起こした原因の90%がダニでその他ハウスダストやスギ花粉と診断されました。その後18歳でレーザー治療を2回したことがあるのですがあまり効果が出ませんでした。年齢を重ねるごとにヒノキやブタクサ等一年中花粉に悩まされるようになりました。喘息がでたり、皮膚がかゆくなったりと・・。
最近では減感作療法を検討しています。気になるのは効果もそうですが費用についてです。
症状によっても異なるとは思いますが一度にどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
副作用はどういったことがあるのでしょうか?宜しくお願いします。
A4 減感作療法
花粉症が悪化している状態で、なかなか大変だと思います。
あなたが2回にわたり治療を受けたレーザー治療は、近年よく行われるようになりました。しかしこの治療法は半年から1年後には多くの場合、再発します。ですから良心的なお医者さんは、それを前もって説明して、治療後も引き続き内服薬を飲んだり、点鼻薬を使用したりする場合が多いということを説明します。
私もこの治療法を選択することがありますが、その場合には今述べたようなことを十分に前もって説明しておきます。
減感作療法は、スギ花粉のエキスを何千万倍にも薄めて、それを週に1―2回に注射します。スギ花粉が飛んでいる1月から4月いっぱい週1回、その後は月に1回の注射を目安とします。
時間と手間ががかかるため、それなりの決心が必要です。またこの治療法は原因物質を注射するために、ごくまれではありますが注射後に血圧が下がったり、気分の悪くなることがあります。ですからこの治療法に慣れた専門医で注意深く行うことが重要です。
治療のコストですが、再診料と治療費で、自己負担が3割の場合、1回約500円です。
可能であれば1度拝見し、よくお話しをお聞き、この治療法があなたに合っていると判断されたならば、あなたにとって通院が時間的にも容易な、お近くの専門医を探しましょう。
Q3 減感作療法他
いくつか質問させて頂きたい事柄がありますので、回答をよろしくお願い致します。
私はNと申します。30歳女性です。
昨年の今ごろにも一度先生へ質問をさせて頂いたことがあります。当時はほんとに人前に出るのさえためらうほどにひどい状態で、薬は体にネリゾナ、顔にプロトピックをかかせず、我慢できない時には飲み薬(ステロイド)も服用していました。
今は大分落ち着いて、体には保湿剤(ウレパールローション)のみの使用、首から上は低刺激性の化粧水・クリームで保湿をした上で週に1~2回フルゾンクリーム又はレダコートクリームを使用しています。首や顔は少々赤くなる事もありますし、体も痒みはありますが、随分楽になりました。
今回の疑問はまず減感作療法にかんしてのことです。
去年9月から近くの小児科で減感作療法(杉・ブタクサ)を始めました。
最初は1週間間隔から、だんだん伸ばしていくということで、看護婦さんに「次からは2週間間隔で来てください」などの声を掛けます、と言われていたのですが、今だ何も指示は無く、仕事の都合上間隔が開くことはあっても原則として1週間間隔で通っています。
もう最高濃度になってから半年以上になるので、このままでいいのか考えてしまいます。
アレルゲンに触れるのが目的の療法とはいえ、あまりにも頻繁に強く感作することで逆に悪くなることはないのでしょうか?
また、こちらのスタッフの方は妊娠中も減感作療法を続けていた方が、子供にアレルギーが出にくいのよ・・・・と言いますが、先生はどう思われますか?
私は2人目の妊娠を待ち望んでいます。(子供は2歳半になりますが、幸いな事につるつるの肌をしています)
アレルゲンを入れることで、抗原抗体反応が強くなると思いますが、そんな状態でお腹に赤ちゃんがいるということはあまり良いことには思えないのです。
アレルギー性の不妊症(母体が相手の精子や受精卵をアレルゲンとみなしてしまい妊娠が成立しない) なんていうのもどこかのホームページで取り上げていた(これについてはどう思われますか?)ので気になりますし、半年前に流産してしまったこともあって余計に考え込んでしまいます。
先生のお考えを是非お聞かせください。
お仕事でお疲れのところ申し訳無いのですが、よろしくお願い致します。
A3 減感作療法
(1)妊娠と減感作療法についてのデータはほとんどありません。多くの本や教科書に引用されているこの点についての論文は1,978年にアメリカのアレルギー学会雑誌に1つあるだけです。
その論文によれば妊娠中にはアレルギー症状はそれだけで状態が変化しやすいので減感作療法は始めない方がよい、というものです。妊婦さんの減感作療法について言及している文献は以後ほとんどありません。何故ならば、試しに妊婦さんに減感作療法を継続してみるとという試みが人道上認められないからです。
したがって多くの場合減感作療法は妊娠とともに一時中断し、出産後にまたアレルギー症状が強くければ注意しながら再開するという方法が一般的といえそうです。
ご心配のもし妊娠中に、減感作を続けた場合、おなかの中の胎児に影響があるかという点についてのコントロールスタディーは一切ありません。
(2)減感作療法に使用するアレルゲン液の濃度が維持量に達した場合、通常、間隔は開けてゆきます。以前と同じ間隔であればその旨を主治医に伝え、検討をしてもらうのがよいでしょう。
Q2 日本でも治療方法
現在アメリカと日本を行ったり来たりの生活で(約2ヶ月アメリカ・約1ヶ月日本)という生活です・・。
アメリカにおいてアレルギーテストの結果、アメリカにあるアレルギーを起こす全てのものが私のアレルゲンでした。先週より注射の治療が始まったのですが、又日本に3週間帰らなくてはなりませんし、来春には帰国を考えています・・・注射の治療は3年から10年かかると言われ、来れない時は自分で注射を打つよう指導されました・・・この様な状態で中途半端になってしまうような気がして、どのよう治療して良いか悩んでいます、このまま注射で治療を続けていても無駄にはならないのでしょうか?
A2 減感作療法
Allergy shotは根気の必要な治療法です。
アメリカでの生活時間の長いあなたはアメリカでの生活の支障を減らすにはあちらのDrの指示に従ってはいかがでしょう。
この注射は自分でもできるため日本にいる間はご自分で注射(自己注射)をされてはいかがでしょうか。
Q1 減感作療法について
このコーナーへははじめて質問させていただきます。
毎年悩まされるスギ花粉症の治療法についてです。スギ花粉症の治療法はいくつもあるかと思いますが、特にそのうちの減感作療法について教えて下さい。
A1 減感作療法
減感作療法は20世紀の前半に行われるようになった一種の免疫療法(ワクチン)です。はしかやおたふくのワクチンが1度注射するだけで免疫がつくのに比べると、花粉症に対して行われる減感作注射はかなり異なるものです。
スギを例にとって 減感作療法の実際についてご説明致します。スギの標準エキスを何千万分の一方は何億分の1位という微量に薄めてそれをを週に1回または2回、定期的に皮下注射します。回数を重ねるごとに少しずつ量を増やし、また濃度を少しずつ濃くしていきます。通常をスギの花粉が飛び始める1ー2ヶ月くらい前から注射を開始しスギ花粉の終了の時期まで(大体5月まで)定期的に行います。その後は1-2カ月に一回と注射の間隔をあけて、夏、秋、冬と注射を続けます。また来年のシーズンになる1ヶ月くらい前から注射の間隔を1-2週に1回にして行きます。
この減感作療法は、スギ花粉やブタクサ花粉などによる花粉症には有効と言うことはほぼ確認されています。これみより鼻や目の症状が和らぎ、使用するお薬の量も減らせます。
この減感作注射がなぜ効くかという点については以下のように考えられています。
① 空中を飛んできた花粉は鼻や目の粘膜の中に多数ある白血球の1種であるマスト細胞と結合します。結合することによりスギ花粉の情報はマスト細胞に伝えられます。その刺激によりマスト細胞から、化学伝達物質という各種のアレルギーを引き起こす化学物質が細胞の外に放出されます。これらの細胞から放出された化学物質は目や鼻の粘膜で炎症を起こします。その結果、目や鼻の粘膜の症状が出ることになります。
減感作療法によりスギ花粉とマスト細胞が結びつくのを妨害する阻止抗体という抗体が体の中の中で産生されるようになります。その結果マスト細胞から各伝達物質の遊離する量が減るために症状が軽くなると考えられます。
② マスト細胞から細胞の外へ放出される化学伝達物質やサイトカインと言う物質は、細胞膜が安定化することにより外に放出される量が減少します。この細胞膜の安定化により目や鼻の粘膜の炎症が軽くなり、症状が減ると考えられます。
これら①、②のメカニズムは花粉症におけるアレルギーの炎症を、川の流れを例にとればより上流で抑制するということになります。一方、薬による治療は細胞から放出された化学伝達物質が鼻や目の粘膜に作用するのを減少させることにより症状を軽くします。減感作に比べると川の流れのより下流で症状を抑制しようとすることになります。
抗アレルギー薬を花粉の飛ぶ数週間前から内服すると花粉が飛び始めても、症状をある程度抑えることができる場合がよくあります。もしもこの方法がうまく行かない特は、この減感作療法は考慮すべき次の方法かもしれません。
減感作療法は以上のように一種のワクチン療法でありそのメカニズムはかなり理屈にかなったものといえますが、長期間にわたり注射を続けなければいけないという時間的な問題があり、また注射の嫌いな方にはあまりうれしい方法とはいえません。副作用についてはないわけではありませんので、この治療法によく熟達した専門医で治療を受けた方がよろしいといえます。
最後にコストの問題ですが、再診料と減感作注射の治療費で、3割負担の場合で一回400-500円です。
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